2016年2月に日銀の黒田総裁が「異次元緩和に限界は無い」と更に金融緩和を強力にするためにマイナス金利を導入して1年が経ちました。世の中にマネーをどんどん流通させて企業の設備投資や個人の住宅ローンなどの貸付を増やし経済を活性化させることを目的としていましたが実際に効果はあったのでしょうかね?
私は難しい経済のことは判りませんが通常は預金をすることにより現在はとても少ないですが利息を貰うことができますよね。銀行や証券会社は金融機関同士の取引などによる決済のために日銀に対して一定の割合の金額を預けることが義務付けられていて「準備預金」という当座預金があります。当座預金なので商売をしている方はご存知と思いますが小切手や手形の決済に使う口座で通常は利息が付きません。ところが日銀の当座預金は時限的な措置としてですが2008年のリーマンショック後に「補完当座預金制度」を導入して一定の割合以上の「準備預金」を預けた部分にプラス金利(0.1%)がついていました。余っているマネーを0.02%の利息支払いで集めて日銀に預ければ0.1%の利息を金融機関は得られるので差引0.08%の利ザヤが稼げました。我々庶民とは桁違いの金額ですから0.08%でもとてつもない金額になります。安定してノーリスクで利益がでますのでせっせと金融機関は日銀に預けて市中にマネーは還流などしませんでした。そこで、この部分に対してマイナス金利(-0.1%)を付与して各銀行が日銀に持っている当座預金の残高に対してペナルティでは無いですが手数料が取られるような状態にすることで貸出や株式市場へお金を流して活性化されることが期待されています。
金融機関への影響は?
銀行は基本的には貸したお金の利息が利益になるので預けるだけの人はお客さんではない?というと極端ですが、3大メガバンクでも過去に預かった高い利息の預金の償還を迎えて減益となり、金利が下がっても貸出は増えず過去最高の224兆円が余っているそうです。金利を下げて「もう預金しないで!!」としても消費や投資には回らないという証明ですよね。これでは銀行の経営も厳しくなっていくのでハイリスクな事業に今後は手を出す状況になるのか怖いですよね。彼らは金融商品を販売さえすればしっかりと手数料で稼げますがハイリスク商品を買わされた一般消費者はたまりませんよ。
生命保険会社では契約者から預かっている資金を安定した先で運用して利益を出すということが基本的なビジネスモデルですが、その資金の大半は安全資産とされる国債の運用にあてていましたが金利の低下で今までのような利益を上げることが出来なくなり一部の保険料は値上げとなりました。これでは我々のお財布にとっては逆効果ですよね。少しでも収益を上げるために外国の国債や株式などリスク資産を運用していくことになるでしょうか?
いずれにしても上手くリスクコントロールができていればいいのですがノーコンになってバブルの二の舞にならないことを願います。このような金融機関の低迷は同じように安定した運用で利益を出してきた年金などにも同様な影響を与えるでしょう。
金融政策だけでの経済低迷の解決には限界をどうしても感じてしまいますが将来の暮らしを安心して見通せるような政策が必要だと思います。どこを選んで住んでも安心して子育てができて、最低現の生活ができるような収入が確保できるような仕事があるような仕組みがあれば個人や企業も借金して投資していくことができるのではと思います。
マイナス金利になっても我々の収入には今のところほとんど変化なしですが逆に一部の生命保険料は値上がりしたり年金基金も運用難ではこの先どうなるのでしょうか?「物価上昇率2%」の目標はゴールが見えないようですが仮に物価が上昇しても比例して賃金が上昇するのでしょうか?賃金や高齢者の年金収入が上昇しなければ生活コストだけ上がってしまい住みにくい社会になるだけです。
物価が上昇した場合の防衛
その場合は生活を防衛するために簡単に庶民が実行できる方法は、生活コストの大半を占めている家賃が安い地方移住です。田舎暮らしに不安があれば第一ステップとしては地方都市であれば豊かな自然も近くにありクルマが無くても日常生活に不便を感じることも無く新生活がスタートできますよ。
いびつなマーケットから身を守るには?
マーケットから国債が無くなってしまうのではないか?という程にこれまでも年間100兆円を超える国債を日銀が買取りし、ETFやREITも買いまくり国債市場だけでは無く株式市場や不動産市場も異常なことになってるのではないでしょうか?確かに金融市場を安定させる役目を立派に果たされていると思いますが、せっかく日本電信電話公社をNTTへ日本国有鉄道をJRに日本専売公社をJTに日本郵政公社を郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命へと民営化してきたのに逆行しているようにも思いますし、強引に株価を上げているようにも思います。
以下は昨年のブルームバーグからの引用ですが、
8月初旬時点で日経平均株価を構成する225銘柄のうち、75%で日銀が大株主上位10位以内に入っており、楽器・音響のヤマハに至っては既に事実上の筆頭株主状態にある。日銀が今回、ETF購入枠を従来の約2倍へ拡大したことで、年内にはセコムやカシオ計算機でも筆頭株主化し、2017年末には55銘柄まで増加する見通しだ。
株価が上がって給与水準も上がればいいのですが日経平均が上がっても庶民である私には全く無関係で逆に何かのきっかけで反動が来ることが怖いですよね。銀行に預けても利息がつかないなら投資したほうがいいと簡単に思わないようにしてください。現時点では普通預金は日本国が1,000万円までは元本を保証している最高のノーリスク商品です。高い手数料など払ってギャンブルのような投資商品の購入は慎重に!!いつも損をするのは庶民ですから。
現時点ではトランプ大統領が掲げる大規模な減税やインフラへの投資に対しての期待感からアメリカの金利は上昇していく見通しですが、日本の住宅ローンにどのような影響が及ぶのか不透明ですが金利が安いからといって住宅購入という安易な考え方はおすすめできませんので慎重な判断をお願いします。2020年が過ぎたら不動産ブームはどうなっているか判りませんので。
日本の経済成長は安定期に入ったと思いますので、ゆっくりとした地方生活で家族と毎日を地味に平凡に生活することに最近さらに魅力を実感してます。